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cloud vendor black hole

AGPL (Affero General Public License)

GPL のコピーレフト制約をサーバサイドのアプリケーションなど顧客に配布しないものに適用するライセンス。 現代の SaaS など顧客がプログラムをインストールすることなくサービスを使うことが多くなったので制定された。 このライセンスのソフトウェアを取り込む場合、アプリケーションのソースコードを利用者に公開しなければならない。

SSPL (Server Side Public License)

GPL, AGPL でアプリケーションにある種制約を加えることができたものの、クラウドベンダーがGPL, AGPL のアプリケーションをホストして提供するには何も違反がない。 SSPL を策定したのが MongoDB なのだが、彼らは OSS としてソフトウェアを開発している。彼らの作ったものをまるっと持ってきてサービスとして提供し、ビジネスをされてしまうと彼らはどこで儲ければいいのかとなる。 それを防ぐために SSPL が作られた。このライセンスをもったものをサービスとして提供する場合には、周辺プログラムも公開する必要がある。無償でダウンロードできるようにしなければならない。

なんでこんなことを書いているのか

OSS をクラウドベンダに目をつけられて as a service なり使われ始めたら、そのソフトウェアでビジネスしようとしている企業は苦しいよねと。 OSS の限界というのも twitter で見かけたりするし、無料で中身が見れるしビジネスできるのは最高なんだけど、それを作っている人たちが報われるようになってほしい。綺麗事なのかもしれないけれど。

発端は、最近 Elasticsearch が SSPL と Elastic 独自のライセンスに切り替えるとニュースがあった。MongoDB も同様の手段を既にとっている。 自社クラウドや AWS 上で構築できるようにしてビジネスを考えていたはずが AWS が自分たちの成果物をサービス化してしまったらビジネス上苦しくなるのは想像できる。 しかも、AWS はそれが堂々とできるように Elasticsearch においては Open Distro For Elasticsearch と称して、Elasticsearch の OSS をフォークしたプロジェクトを公開している。 これには、Elastic社が有料の拡張、X-Pack の機能が無償で使えるようになっている。Security やインデックスマネジメントなど。Elastic 社と契約する旨味が AWS のOSS 活動で潰されそうになっている。 機能のマネというか、後からの追随は後発サービスではあるあるだと思うが、AWS は Elasticsearch をスクラッチしているわけではない。OSS をフォークして独自に開発しているわけなので問題ないのだけれど、有償のものが後から無料公開されていくのは苦しい。 苦しいばっかりだが、これがまかり通るのが OSS 開発なのだという現実。特に企業がコア製品をOSSとして開発していく場合はライセンスに注意する必要があるだろう。

これを書いていて自分が思ったのは雑多にこんなところ

  • OSS に対して何か資金プール作れないか

    • 安直だがダウンロード数などで開発元にお金が流れるようにできないか
  • OSS を開発する企業が公開している機能についてもライセンスかけられないか

    • 特許と同じようなイメージで、OSS をフォークして類似機能を開発されて食いつぶしあわないようになれば多少幸せになれるのではないか。
  • OSS のソフトウェアを開発元以外で as a service する場合に法的にお金を請求できるような社会にする

    • ソフトウェアはいろんな国で使われるから難しそうだが、開発元が潤う社会になってほしい

このままだと、明確なライセンス戦略を持たない 0 -> 1 開発をOSS公開してしまうと cloud vendor にいいとこどりされて、開発元はお金が稼げないから本家のメインストリームは潰れ、インフラのパイを握る cloud vendor がフォークしたソフトウェアが生き残ってしまいそう。

参考