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ナイツ塙さん執筆の言い訳を読んだ

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佐久間さんのラジオでナイツ塙さんの[言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのかを読んだ際のメモ]という本が面白いと紹介されてたのでお笑い本を初めて読んでみた

M-1

第一回大会は2001年、このときの出場組数1600。今では4000組が出場している。運営は吉本。吉本には芸人が6000人いる。 また、コント師 < 漫才師。キングオブコント出場者は2500組ほど

漫才の種類

  • しゃべくり漫才
  • コント漫才

第一回で優勝した中川家さんはしゃべくり漫才のタイプ
なので、しゃべくり漫才日本一を決めるという色が多少なりともついた。そして、日常会話が面白い大阪はそういう題材に有利。現に、関東でしゃべくり漫才で優勝しているコンビはいない。 漫才は関西がルーツとされている。そして大阪の漫才、上方漫才は怒りを面白くしたものが多い。それは、お客さんに熱量を伝えやすく、笑いが届きやすい。
100m勝負と塙さんは言っていた。3 ~ 4分の中でとにかく客にうけてもらうためには、ボケとツッコミをできるだけ入れ込む。そのためには、スピードと店舗が必要。 自虐漫才は基本ウケない。本当に突き抜けてないとダメ。自虐にピッタリの息が合うとか、自虐を面白く昇華させるとか。

漫才にも長さによって得意とする範囲があり、ナイツさんは完全に長距離型。平気で30分くらいはネタができる。要は長距離型とのこと。M-1は完全に短距離レース。ハイテンションで入り、ハイテンションで終わらせるのが王道。

ナイツのような時事ネタ漫才は時間とともに新しいネタが作れるのが武器。同系統では爆笑問題さん。

年に一回、漫才の集大成のイベントなので新しさはポイント高い。N年連続出場して自力はあっても審査員は前年よりも変化がなかったら入れてくれない。勢いも大事。その点、オードリーは準優勝した一回きりM-1には出てない。賞レースの実績より重要な世間的に売れるということを果たし、自分たちが繰り返しでて、消耗し価値が下がるのを下げたのだろう。とても賢い。オードリーのネタはお笑い芸人の中で一番よくみたネタかもしれない。普通におもしろい。

漫才と落語

東京では漫才より落語のほうが優遇されている。そのため、寄席があってもトリは必ず落語。舞台上へ漫才師があがるときは必ず靴下。
大阪ではこれが逆転している

他芸人について

ナイツさんはいわゆる東京芸人。
同年代では第一回から決勝に進んだキングコングがいるが、彼らのギラつきやステージに上る衣装など外見から自分たちより上だった模様
大阪芸人は舞台衣装にこだわる人たちが多い。反して関東芸人はラフな格好や、私服。

漫才について

漫才はお客さんと作っていくもの。素振りではうまく行かず、必ずお客さんの反応を伺ったほうがいい。
これはITでも同じ。小さく作って顧客(or 社内)の反応を伺いつついいモノを作っていく。
また、練習しすぎるのも新鮮さが失われてしまうので一般的にはよくない。練習の末に世界に入り込めるなら別だが。
練習がとても必要なネタは、自分たちにある程度キャリアがある場合、向いてない題材だとして変えたほうがいいとも書いてあった。 ナイツさんでは、ネタに緊張感をもたせるため、台本に書いてないことを塙さんがぶっこんだりして相方土屋さんの素を引き出している。 漫才は、お互いが心から面白いことをやっているというほうがいい。審査員はコンビの連携の微妙なズレに気づく。レベルの高いお客さんも気づくだろう。やはり、100%の笑いは機械的には生み出せない。ネタは芝居のようで芝居じゃないのだ。

感想

漫才において成功するには、新しいものを生み出そうとする努力、自分たちだけの武器をみつけることが売れるための必要不可欠な要素だということがわかった。顧客に新しい笑いや、より完成された笑いを届けるのは企業や社会人には当たり前であり、芸人というくくりはもったいないと思った。英語のエンターテイナーというのがふさわしい。芸人ってなんかチープだし、下に見られてる感がある。テレビで道化をやる分にはそれがいいんだろうけど、その努力を知ってしまうと僕は気軽に芸人とか言えない。彼らも自分のように日々何かと戦っているファイターなのだから。それもあって僕は芸人さんというし、名前をいうときには必ず さん をつける。売れてる人たちはとても努力をしている、僕よりも更に上の景色を見ている天上人なので呼び捨てははばかられてしまうのだ。お笑いコンテストに関して西や東を意識したことはなかったが、この本を読んで東の芸人がM-1で結果を残す成果がどれほどすごいことよくわかった。また、お笑いのネタに対して鮮度や客のもとめる新しさ、練度、そういう観点が加わり、よりお笑いを楽しめるようになったと思う。M-1がお笑い芸人の青春(現状テレビに出れるようになっても制作側が強いため)というのがよくわかったし、僕も青春できるような会社で働けそうなので全力で楽しんでてっぺんをとりに行きたい。そしたら僕も天上からの景色がみれるのだろうか。なんにせよ登ってみないことにはわからない